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+hk・{-v1(T,N)・v2(l(t))・XPk
(XPkによる摂餌)
+(μ-v)g(XPk+XDk)・XZk+φXDk+qN}・・・10)
(XZkによる排泄)(分解)(外部負荷)
5-5. 溶存酸素量(X02)の基礎方程式

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u, v, w:X, Y, Z方向の流速成分
ws:物質の下層への沈降速度
H:平均水面から海底までの深さ
ρ:流体の密度
f0:Coriolis力
P0:大気圧
Nx,Ny,Nz:X,Y,X方向の渦動粘性係数
hk:k層での層厚
この時、μ,v,γ,φ,σ,α,β,l,q,g,(X)等は観測による経験値である。
6. 計算条件
計算に用いた諸係数をTable-1に示す。

Table-1. Conditions of calculations

524-2.gif

7. 検証及び評価法
植物プランクトン現存量が41mμ g/1以上で赤潮が発生すると言うことが報告2)されていることから、本研究では35mμ g/1以上の範囲を赤潮危険海域と定義し、これを構造物周りの海域の環境評価基準とする。また、植物プランクトン現存量に関する検証法としては、南西海区水産研究所において行われた大阪湾の植物プランクトン現存量の現地調査結果3)(Fig.2)と本研究での計算結果(Fig.3)とを比較し、本研究で用いたプログラムの妥当性を検討する。
8. 結果及び考察
計算は、関西国際海上空港建設前の場合、埋立式及び浮体式関西国際海上空港を建設した場合の流況と沿岸生態系に関して、それぞれ比較計算を行った。植物プランクトン現存量分布の結果の一部をFig.3〜Fig.7に、流況の結果の一部をFig,8〜Fig.10に示す。
空港建設前の大阪湾の流況(Fig.8)は、泉佐野付近では、Level 1、2共に沿岸に沿って南西の方向に流れていることが分かる。埋立式海洋構造物設置後の流況(Fig.9)は、Level 1、2共に建設前とは全く逆の北東の方向に流れている。浮体式海洋構造物設置後の流況(Fig.10)は、Level 1では埋立式と同じ北東の方向に流れているが、Level 2では浮体下における海水の流動が可能なため他の場合とは異なり平均で約0.25m/sec程度の流速で構造物沖側から岸側へと流れている。
植物プランクトン現存量は、どのケースにおいても神戸・西宮・大阪沿岸で37μg/1以上と高い値を示し、赤潮危険海域となっている。構造物建設前の場合(Fig.3)は、Level 1、2共に泉佐野周辺に赤潮危険海域は出現していないが、埋立式建設後の場合(Fig.4)は、Level 1、2共にかなりの範囲において赤潮危険海域の出現が認められた。浮体式で建設した場合(Fig.4)には、泉佐野を中心とする20km四方の海域内(Fig.8参照)では、埋立式の場合と比較して赤潮危険海域がLevel 1では76.19%、Level 2では57.6%という結果になり、Level 1で約2割、level 2で約4割も赤潮危険海域が減少することが分かった。これは、浮体武構造物下部の流動が、赤潮の発生過程の一つである集積効果4)を減少させているためと思われる。
9. 結言
本報の結論により以下のことが得られた。
1. 現地観測結果(Fig.2)と計算値(Fig.3)を比較すると、ほぼ傾向が一致していることから、本研究のプログラムの妥当性が確認できた。

 

 

 

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